「・・・・・や・・・やっとDPに乗れると思ったのに・・・
38時間もシミュレーターで訓練したのに・・・

あ・・・あたし、帰ります。帰って本部に確認します。」

「無理ね。あんた達今さっき離れていった漁船で来たんでしょ?
ここは隣国と領有権問題になってる島の中の一つ。だからこそそんなものに隠れてわざわざ上陸してきたって事は、戻るのも簡単にはいかない。
迎えのてはずが整うまでの長期出張のつもりできたんじゃないの?

それに本部とやらへの確認の必要はなさそうよ~」

天河が目をやった先で生崎が携帯で話し込んでいる。

「・・・うむ、了解。・・・あぁ、それは今現場で見てる。目の前にあるあれだろ?・・・ん、それじゃ。」

「・・・・・?」

「そういう事みたいよ。事務方が機密事項の扱いを慎重にしすぎて連絡が遅れたんだって。
ま・・・まぁ、訓練は無駄にはならんだろ。
ほら、特殊船舶の資格もとれたしさ。」

「ほっほほほ!何か知らないけどお気の毒さま~。」

高笑いする天河の横でひばりは崩れ落ちた。

と、そこへブリッジの内線が鳴る。

「先生、実験槽の準備できたそうですよ。」

「そっちの子はともかくとして、曹長さんはあの物騒な生き物にも少々興味があって来たんでしょ?
粋のいいネタバラすから、ちょっとくらい見せてあげる。」

「んー・・・解剖の類いはあまり得意じゃないんだが、一応そっちの報告もしなきゃならないんで是非拝見させて頂こう。」

「平気よ。今時解剖なんて面倒なマネしないから。」

天河の後についてブリッジを出ようとする生崎が、意気消沈したひばりを振り返る。
すると山地が生崎に向かって軽く手を裏に振って追い払うような仕草をして見せた。

それに対し生崎は軽く会釈を返してブリッジを出て行った。

「さて、こっちもDPの調整やらマグロ弾の修理やら忙しくなるな。
ねぇ、キミ訓練以外は普段なにやってんのよ?・・・その~、所属とかは?」

「・・・整備隊です。

装備品の点検整備とか、機械いじり得意なんで。」

「ちょうどいいや、手伝ってくんないかな~。
クレーンの操作なんか出来ちゃうと助かるんだけど。
人手足んないんだよ~。」

「・・・・作業着・・・・貸してください。」