怒り狂ったシャチが、アイアンクローを伸ばして更に陸を這ってくる。
もう敵も味方もない。
ここに居るものを全て食い尽くさんばかりの勢いだ。

シャチの形相に恐れをなして逃げ出すペンギンの群れに逆行して、武器を携え近づいて行くこぞぅとペンギン。

「おい、そこのでかいの。
どこから来たのかしらねぇが、いいとこなくて散々だなぁ。
まぁ一杯やれや」

後方から尋橘はそう言うと、こぞぅ達の頭越しに何かを投げた。

なりふり構わないシャチはそれをパクリと口で受ける。

「ギャ〜〜〜〜〜!!」

シャチの口から火柱が上がった。

尋橘が投げたのはビールの空き缶に、車から抜いたガソリンを入れた火炎缶だった。

シャチはその場で転げ回り、悶絶しながら再び海に落ちた。

こぞぅ達は半ば尋橘を恨めしそうに振り返る。

「・・・喰うっていうからよ、ナマってわけにもいかねぇだろぉ」