こぞぅはバックパックから2本の傘を両手で抜いた。

ペンギンの群れは一斉にこぞぅに飛びかかる。
その攻撃を正面で受けながら、後ろからペンギンをなぎ倒す。


・・・こぞぅはあまりの不愉快さと怒りに興奮してまた増えた。
今度は概ね5匹ほどに。

倒れていたペンギンはことの成り行きを見ていた。
かつての仲間と異世界で正面から戦ったこぞぅが、少なからず自らの原因で戦っている。

なのに自分はそこに居ない。
さっきそのままシャチに食われておけば、いっそこんな惨めな思いはしなかったのに。

こぞぅが本当は戦闘の素人であることはわかっていた。
でもそんなことも構わずにここまで来てくれた。

そしてペンギンは尋橘の方にも目をやった。
ケガをして倒れていたら、不思議な薬を使ってキズを直してくれた。
どうしていいかわからなくて泣いていたら、温かいところで美味しいものを食べさせてくれた。
なぜみんなよそ者の自分を助けてくれるんだろう。