数羽のペンギンが丘に上がると、”裏切り者”のペンギンを無造作に川から引きずり上げた。
それを囲みこん棒や斧で突き回す。
やはり何かを待っているようだ。
すると海の側から黒いかたまりが近づいてきて、陸の波打ち際でガバァっと大きな口を開けた。
まるまる太った巨大なシャチだ。
それが凶暴そうな牙と強欲そうな舌を剥き出しにしている。
ペンギンの群れはそこにぐったりしたペンギンを放り込もうとしている。
シャチが更に口を大きく開けたとき、何かがシャチの喉をめがけて飛んできた。
「ウギャ!!」
シャチが白目をむいて呻きながら海に転げ落ちた。
それはこぞぅが修理していたペンギンの武器だった。
サーベルはシャチの喉の中で骨が開いたのでたまったものではない。
シャチが海辺でもがくのをよそに、群れに担ぎ上げられたペンギンをこぞぅが見つめる。
「活きの良さそうなのが10匹はいそうだなぁ。・・・へっ、どうせ手ぇ出すなってんだろ。
ここで見物してるからやばくなったら呼んでくれ」
尋橘は車に寄りかかって腕を組んだ。
担いでいたペンギンを放り出すと群れは、武器を手にこぞぅに近寄ってきた。