明るくなり、昨晩見た辺りにペンギンは既におらず
やはり夢を見たのだと思い
ペンギンが倒れている場所に行った。

既にペンギンの姿はなく、ようやく立ち上がってどこかへ行ったのだろうと
その場に近づいてみた。

すると何か妙な形跡があった。
無数の羽毛と何かを引きずったような跡。
しかし引きずった跡は数メートルのあたりで途切れて、その先がわからない。

でもペンギンのニオイはかすかに残っている。
そのニオイをたどってこぞぅは走り出した。
昨晩見た異様な光景、何かわからないが嫌な予感がした。

道すがら子供達が川を眺めてなにか騒いでいた。

「あれはペンギン?」「違うよカルガモだよ」「え〜、カルガモはあんな泳ぎ方しないよ」・・・・

こぞぅが覗くと川の中央を黒い影が群れで泳いでるのが見えた。
その中に他とは明らかに違うものがいた。
両足を繋がれ、泳いでいるのではなく曳行されている。
あのペンギンだ。

こぞぅは岸に沿って追いかけたが、どんどん引き離されて見失ってしまった。

水の中に入られてはニオイもわからない。なによりあれはどういう状況なのかもわからない。

そこへ区役所の車が横付けしてきた。

「乗れ!ペンギン野郎連れてかれちまったぞ!」

しかしこぞぅは走って尚も追いかけようする。
これは自分の問題なのだと思っていたからだ。

「あれは結構マズイ状況に見えたぜ、ヤツ殺されるな。
助けようってんなら走ってちゃ間に合わないぜ。
だいたいがどこへ行ったかもわからねぇだろ?」

するとこぞぅは立ち止まり尋橘に歩み寄ってきた。

「あいつがよ、俺んちに一晩居たときにちょっと細工しといたんだよ」

こぞぅが助手席に乗るとナビの地図にマークが動いているのがわかる。

「どぉよ、文明にリキってやつよぉ。動物の生態調査とかなんとかで職場にあったんで
ちょいと持ち出しといたんだがな、一応あのまんま持ってかれると俺もまずいんでよ」

車は群れと逆に走り出した。

「どうしたってこっちは陸路しかいけねぇんだ、先回りするぞ!」