ペンギンは街の暗がりで黙々となにかをしていた。
その目にはもはや不安や迷いはない。
街のあちこちから集めてきたものを周囲にならべ
それらの中から使えそうなもの選び武器をあつらえているのだ。
こぞぅから逃げたのは恐ろしかったからではない。
敵のニオイを覚えたからだ。
だから不利な状況に敢えてしがみつく必要がなくなったのだ。
だがそれは相手も同じことだともわかっていた。
だから追っても来なかった。
手強い敵ということは2度も負ければじゅうぶんわかっていた。
しかし今日、どうしてもこぞぅとは戦わなければならない理由が出来た。
こぞぅが持っていた斧はペンギンのものだ。
ここに流されてくる間に海のどこかで落としてしまったと思っていた。
しかし武器は一度仕えた主にはどこまでも付き従う。
だからこそ主は武器に命を任せられる。
武器は戦士の誇なのである。