「骸城さん・・・これはやりすぎでしょう」

「あの調子で車んなかで騒がれちゃかなわんしな」

一行が保護室に到着すると、くちばしをガムテープでぐるぐる巻にされたペンギンは
カゴから出されキズの手当を受ける。

「しかしこいつどこの水族館から逃げてきたんだ?」

「近隣の施設に問い合わせたんですが、数が減った様子もないしこのタイプはそもそも扱ってないと」

「確かにちょっと変わってるもんなぁ。アタマに変なものつけてるし」

「おそらく闇ルートで売買された個人所有ってところでしょうね」

こぞぅは川で洗濯をしていた。

いつもは公園の水道を使うのだが、ペンギンに襲われたときに
服に多くの血の跡つけてしまった。
それを人に見られるとなにかと面倒だと思ったからだ。

あらかた汚れを落とし、荷物をまとめて場所を移そうと思ったとき
こぞぅは不審なものを見つける。

下町の住宅街でそうあるものではない。

こぞぅも斧とやらを見たことがないわけではないが、
そこにあるものは立木を切ったり薪を割ったりするものとは違い
妙な凄みを感じさせた。

だからといってそれほど大きなものでもなく、
拾い上げた小さな手にも丁度いい具合だった。

こぞぅはなぜか高揚した。
無意識に鼻息が荒くなった。

これこそ人に見られたらまずいものだと悟ると
たたんだ洗濯物を広げ斧をくるみ、それを隠すように抱え立ち去った。