こぞぅは今日もそれなりに生きている。


たまに落ちている小銭を拾っては自販機に返し、その見返りに飲み物を受け取り憩いの時を過ごす。
しかし小銭を返す口がこぞぅにとってはやや高いところにあるため、しばしば手をすべらせ小銭を自販機の下に落としてしまう。
そんなときは慣れた手つきで傘を自販機の下に潜らせ、小銭をたぐりよせる。



そんな日常を過ごしていたある日。

かたわらにその姿をジッと見つめる影があった。

人に見られることはいちいち気にしない。気にしてなにかいい事があるわけでもなく。

なので敢えて無視をしていた。

するとその影はソロリソロリと近づいてきて、なにか鋭利なものでこぞぅをつついてきた。



普段遠巻きに見る者はいても、接触してくる者は極めて珍しい。


こぞぅがおもむろに振り向くと、そこにはトリが立っていた。
トリのわりにはやたら地べたを這い回ったような汚れかたをしている。

飛ばないトリ・・・しかしダチョウのように大きくはない。

こぞぅはとっさに自分が何を見ているかを考えた。



・・・と、いきなりペンギンはこぞぅにけたたましい声でわめきたてはじめた。

泣いているのか怒っているのかはサッパリわからない。

腰を抜かしてのけぞると、さらににじり寄ってわめきたてる。


驚き圧倒されているのもつかの間、状況がどうというよりとにかくそのうるささ腹が立った。


こぞぅは傘を逆さに持ち、柄の部分にペンギンの首を引っ掛け投げ飛ばした。

するとペンギンはこぞぅに飛びかかってきてあちこちをくちばしで突き回す。

たまらず逃げ回るこぞぅを執拗に追い回すペンギン。