・・・・・『ガッ!!!』

振り下ろされた大きな石。それを紙一重でかわすとこぶたは後を見る事もせず、脱兎のごとく走り去った。

「ふ〜、ふ〜・・・」

息荒くその場に立ちつくすこぞぅ。その足はもうフラフラである。
こぞぅはここ数日何も食べていない。公園の水道水のみで生き長らえていた。

近頃道ばたに1円も落ちていない。労働を糧としないこぞぅにとって拾得銭は生命線である。
それがかたまりになって移動しているわけだ。
これを誰かに先に捕られまいと、こぞぅは不眠不休でこぶたを追い続けていた。

『カラ〜ンカラ〜ン』

遠くで乾いた音がする。こぞぅがこぶたを追いながら街中に張り巡らせたトラップに何かが触れたのだろう。
こぞぅは音のする方へ急ぐ。