その後こぞぅはあらゆる病院を探し回った。街中の内科・外科・耳鼻科・歯科・精神科・小児科・産婦人科・・・・
しかし男を見付ける事は出来なかった。

探し尽くた挙句、あの公園に来てみると近所の主婦達の立ち話が聞こえてきた。

「あのトイレに棲んでたホームレス、風邪をこじらせたみたいよ〜」「運ばれた時には意識無かったみたいだしぃ・・・」
「死んでたって聞いたわよ〜」
「でもこの辺りもこれで少しは安心になるわね」「そうね。あのホームレス、いつも酔っぱらっててちょっと怖かったものね〜」・・・・


こぞぅは“相棒”の居るあの場所に行ってみた。するとあの自販機は撤去され、その空間だけがポッカリ空いていた。

『おぢちゃんはこの光景を見たくなかったんだ。だから先に居なくなっちゃったんだ』


こぞぅはかつて独りだった。それは“身軽でいいもん”だったのかもしれない。
そしてまたこぞぅは独りになった。それはあまりに身軽すぎて、北風にすら飛ばされてしまいそうで心細い。