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昼間こぞぅが巻いたはずのダチョウがその場に走り込んできた。 チンピラの一人は跳ねとばされ、もう一人はくちばしで突き上げられ更にもう一人はダチョウにひっかかったまま何処かへ行ってしまった。 「い・・・痛てて・・・」 力無く立ち上がろうとするチンピラの一人。 その眼前に鋭利に尖った傘のきっさきが突きつけられた。その先にはこぞぅが仁王立ちし、睨んでいる。 『さぁ答えろ。なぜ“おぢちゃん”を殺った?あの時もめてた理由はいったい何なんだ?』 チンピラはこぞぅがそう言った気がした。 「ち・・・違う・・・俺達は殺ってない!!」 それを聞くとこぞぅは更にきっさきをチンピラの眉間に近づける。 「勘弁してよ〜・・・。俺達はただあのボロイ自販機を撤去しに来ただけなんだよ。 そしたらあのおやじが喰ってかかってきやがってよ〜。『俺のアイボウ』がどうのこうの言って。 でも俺達もバイトだからよ〜、仕事しようとしたらボコられたんだよ。だから今日出直して来てよ、仲間がちょっとしょんべんに行ったらあそこであのおやじが倒れてるの見付けて・・・ で、ヤバそうだったから救急車呼んでよ。俺ら第一発見者だから警察に事情説明してたんだよ〜」 チンピラは半べそをかきながら事の顛末をまくしたてた。 「どこの病院に運ばれたって?そこまで知らねヘ〜よぉ〜・・・もう許してくれよぉ〜」 とうとうチンピラ、いや勤労青年は泣き出してしまった。 それだけ聞くとこぞぅはきっさきを引き、傘をバックパックに納めると夕日の中へ消えて行った。。 |