「冷えるね〜。今夜も」

この男は今日もここへ来ている。

私鉄が走る高架下、自販機の並ぶ薄暗い一角。男はワンカップ酒を片手に一人楽しげだ。

「お、もうなくなっちまったか〜・・・。なあ、たまにはおごってくれよ〜」

親しげに自販機をさするが、当然答える事はない。

「ちぇっ!相変わらずケチな野郎だぜ。わぁったよ。金出しゃ〜いいんだろ!ったく・・・」

男は相当に酔っている。ブツブツ言いながら100円玉を投入口に入れようとする。
・・・とその時手が滑ってしまった。

『チャリーン・・・』

100円玉は地面に跳ねると、自販機の下に転がり込んでいってしまった。

「あ”〜〜〜〜!!!!」