「おう、誰かと思ったらこぞぅじゃね〜か」

そこにはこぶたを拾い上げたおぢちゃんの姿があった。

「なんでぇ、その意外そうなツラァよお・・・。まさか俺があのまんまおっ死んだとでも思ったか?
まあ、確かにあん時ゃぁ意識失っちまってよ、もうお終いだとも思ったぜ。
でも気が付いたら知らね〜街の病院に厄介になっててよ・・・ホレ、ホームレスってのはよ、なかなか面倒見てくれる病院がねぇんだってよ。
でまあ、調子も良くなったもんでまたこの街に戻ってきたんだが、どうせならもっと広いとこに引越てえってな、この橋の下に住んでるってわけだ。」

こぞぅにとってはどうでもいい話だ、それよりもこぞぅはおぢちゃんが持っているこぶたを早く抑えたかった。

「おう、こいつとなにがあったのか知らね〜が、こんな可愛いこぶたいじめちゃかわいそうじゃね〜か」

おぢちゃんがこぶたをあやすように軽く揺すった。

『ジャラ・・・』

「おい・・・、こいついい音するじゃね〜の」

「ピ〜〜〜!ピ〜〜〜!!!!」

瞬間、こぞぅと同じ殺気を感じたこぶた暴れだした。

「お・・おい!おい!!」

おぢちゃんが手を滑らせこぶたは宙に舞った。
高さとこぶたの質量からいって、このまま地面に叩きつけられれば確実に破壊される。

0.0数秒間、こぞぅの打算がはたらいた。

『こぶたをこのまま世間に泳がせておけば、“俗世間の薄っぺらな好奇心”はもっとこぶたにカネを貯めて行くだろう。ひとまずここで破壊しないまま“鈴”を 付けてしまえばいつでも確保は出来る。   そうだ、もったいない!

こぞぅはおぢちゃんの足元にスライディングしこぶたを地面スレスレでキャッチした。